2008/04/11
ひとひらの・・・(お花見ガイド.jp)
 4月に入った休日の午後、ルーフバルコニーから中庭の桜を見下ろすと、雲のようだったピンク色の花びらはほとんど散って、紅色の「がく」だけが枝に残されている。それでも、遥か丘の彼方の稜線は青空の下、ピンク色に輝いたまま。急に見たくなって、マウンテンバイクを走らせた。

 急な坂をギアを落として何とか上り、稜線の頂上に着く。ここから見下ろす桜は何とも美しい。若葉緑の中、ピンクの帯が波のようにうねりながら麓まで続いている。近くの桜の木の根元に腰を降ろして茶を点てる。はらはら、はらはら、風に寄り添うように花びらは散り、雪のようにひらひら舞う。やがて地面に落ち、茶色い土と緑の下草の上に、白いスポットとなって明るい表情を付けていく。と、そのひとひらが掌の中の抹茶碗にひらりと入り込む。グリーンの泡の上にそっと浮かんだ薄いピンクの花びらは儚げで、湖の上の小船のように見える。花一片、それは確かにひとひらにすぎないけど、凛とした存在感がある。やがて消え行くこの泡のように、桜は散るときが一番美しいのではと思う。

 「お花見ガイド2008」サイト(http://お花見ガイド.jp/)では、全国1400箇所のお花見スポットの桜の写真を5月15日まで募集している。掲載された作品にはプレゼントも用意してあるようだし、あなたも応募してみてはいかが。横浜の桜はほぼ終わりつつあるけど、東北や北陸、北海道はまさにこれから。美しく咲き誇り、儚げに散り行く桜を追いながら、日本列島を北上するのもまたおつなものかも知れない。

 一服し、下草の上に寝転んで空を見上げる。青い空をバックにこげ茶色の桜の枝とピンクの花、隣のケヤキの若葉緑が目に入る。ピンクと明るいグリーンが水色の空の中でわずかに重なり合う。ヒヨドリが鳴き、雀たちが花びらを啄ばみながら枝を渡る。ひらひら舞い落ちる花びらに混じり、強い風に吹き飛ばされた花一輪が、風車のようにくるくる回りながら落ちてくる。−久方のひかりのどけき春の日に しづ心なく花のちるらむ−散り急ぐ桜を愛しみながら、いにしえびとの心に暫し思いを馳せる。年に一度くらいなら、こんな時間もなかなか素敵なものだと思う。

(J)
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