2007/05/31
丸い地球のかたすみで
 目の前には360度、見渡す限りのグリーンが広がっていた。数え切れないほどのシマウマと茶色いヌーが草を食み、遥か向こうには象が蟻のように一列で行進している。目を凝らすと象の前に寝そべっているのは体格の良いゴールデンレトリバーみたいなライオンだった。そう、眼前のパノラマは鮮やかすぎて、大画面テレビで見るサバンナの映像のようだったけど、それでも確かに、目の前の茶色いシマウマの子供は濡れた瞳で僕を見つめている。「一度アフリカの水を飲んだものは再び帰ってくる」という諺どおり、僕は5月の連休にケニアの大地の上に立っていた。

 東京から遠く離れた緑のサバンナにいると、正直仕事のことは忘れてしまう。酷暑の中、丈が高く伸びた雨季の草原を風が波のように揺らし、その下にライオンがそっと身を潜めているのを見ると、自分が今、彼らと同じ空間にいることに圧倒され、「人」や「言葉」はもう要らないという気持ちになってくる。それでもすっかり暗くなってから国立公園の中のリゾートホテルに戻ると、その明るい灯りや暖かいシャワー、そして美味しい料理に癒される。そこでの「人」とのコミュニケーションには「言葉」が必要だし、さらに、こんな場所にもインターネットアクセス環境が用意されていることに驚き、やがてそれを満喫する。

 ケニアのいくつかの国立公園をサファリカーで廻る。未舗装の道を猛スピードで駆け抜けるせいで、砂煙が濛々と上がり、何とも埃っぽい。そんな中ですれ違う車両(大型トラックなどの運搬車が多い)のボンネットやコンテナには企業のWebサイトのURLやメールアドレスが大きく書かれている。国境が近いせいか、隣のタンザニアのccTLDも目につく−「.tz」はタンザニア、「.ke」はケニア−。移動中、対向車をナンバープレートではなく、書かれたccTLDで認識している自分に気付く。

 帰国後、たまたま立ち寄った新緑の表参道の文房具店で、シックな地球儀を見つけた。地球儀の各国の上には国際電話番号と国別ドメイン名(ccTLD)が記載されている−日本の上には「.jp」と−。地球儀をぐるぐる廻してみる。いたるところに国があり、国や地域ごとにccTLDがある。隣の韓国は「.kr」、フランスは「.fr」、そしてオーストラリアは「.au」。以前は外国といえば国際電話する際の国番号が気になったけど、今はドメイン名(ccTLD)も国番号と同様に扱われていることにちょっと感動する。世界は丸い。そしていたるところに国があり、そこにある様々な人の暮らしに、しばし思いを馳せる。

(J)

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→「IANA Root-Zone Whois Information -Index by TLD Code-
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