2006/11/02
深まる秋(読ませ大賞.jp)
 青空にはうろこ雲がたなびき、どこまでも澄んだ青と白のコントラストが目に眩しい。横浜の外れのコンクリートの屋上では、ハイビスカスが今年最後の真っ赤な大輪の花を付け、朝顔もまだ2つ3つ咲いている。最後の花にアブラムシが集まり、それを目当てにナナホシテントウが飛んでくる。眼下の丘陵ではハナミズキの葉がオレンジに色付き、崖の上のわずかな斜面にはピンクのコスモスが咲いている。その上を渡る爽やかで少し肌寒い風。日一日と気温が低くなっていくのは確かに淋しいけれど、それに合わせるように頭もだんだん冴え渡ってくる。

 深まる秋、11月3日の文化の日を挟んだ今の2週間が「読書週間」だ。暑過ぎも寒すぎもせず、爽やかな青空が続くこの季節は、読書にもっとも向いているのかもしれない。今年から、読書週間の初日の10月27日が「文字・活字文化の日」となり、それを記念してキャンペーンが行なわれている。JPRSが協力しているJPIC
((財)出版文化産業振興財団)の「読ませ大賞」(http://読ませ大賞.jp)は「好きな人に読ませたい本を読者が選ぶ」初めての文学賞。読者からの投票を受付けるキャンペーンサイトのURLとして、「文字・活字文化の日」にふさわしいことと、覚えやすく、口コミでも伝わりやすいことから、日本語JPドメイン名のURLを利用している。ASCIIと併用せずに、日本語JPドメイン名だけを利用した大々的なキャンペーンは、今回の「読ませ大賞」(http://読ませ大賞.jp)が初めてとなる。

 キャンペーンサイトではイメージ・キャラクター、押切もえさんの読書に関するインタビューや「文字・活字文化の日」に安倍総理に読んで欲しい本をプレゼントした時の模様が動画で見られるほか、「好きな人に読ませたい本」を投票するとスクリーンセーバーや抽選で図書カードが貰える。プレゼントはともかく、折角の機会だから、「自分が好きな人に読ませたい本−自分の一番感動した本−」は何かを考えてみる良い機会なのでは?それにより、普段、自分が大切にしているものがわかるかもしれない。

 「読ませたい本」と言えば、いつだったか、遠いところに住む古い友人に大好きな本をプレゼントしたことがあった。最近、カフカ賞を受賞した作家のウィスキーに関する紀行文で、その前書きが味わい深く、それを肴に朝まで飲み明かしたのだけれど、先週末、数年ぶりに彼の自宅を夫婦で訪ねる機会があった。パートナーが寝入ってから、あの本のことを覚えてるか聞くと、彼は黙って書斎に行き、真っ直ぐにその本を持ってきた。数年経つというのに、彼は本の内容を全て覚えていた。それどころか、文中で紹介されていたアイリッシュ・ウィスキーまで用意していた。それから、僕達はまた朝まで飲み明かした。今度は本のことには一切触れずに。自分の「読ませたい本」が、時間をかけてウィスキーのように熟成され、相手の「読みたい本」になるなら、こんなに素敵なことはない、と思う。

(J)
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