2005/07/27
レーゾン・デートル (renault.jp)
 ようやく梅雨明け。それを待っていたかのように、毎日弦が伸びてばかりのベランダの朝顔に、毎朝、ピンクとブルーの大輪の花が咲く。眼下の玉川上水では、緑の中にオレンジ色のヤマユリが目に眩しい。降りてみると、ユリはいつの間にか群生しオレンジ色の海に。花にはタテハ蝶が群れ、林の中では大きな黒アゲハがひとひら舞っている。足元に目を落とすと、小さなピンクの昼顔の花の中でシジミ蝶がひっそり蜜を吸っている。そう、ここには確かに小さな生態系があった。

 そのまま街まで歩き、あまりの暑さにシネマ・コンプレックスに駆け込む。夏休みとあって多くの映画が上映されている。最近では、新着映画がWebサイトを立ち上げて、ストーリーや出演者を紹介することが普通になっている。短くて覚えやすいせいだろうか、その多くが汎用JPドメイン名を利用している。いくつか紹介すると、トム・クルーズの「宇宙戦争」はhttp://www.uchu-sensou.jp/だし、ぺネロペ・クルスの「サハラ‐死の砂漠を脱出せよ‐」はhttp://www.sahara-movie.jp/。韓国映画の「ナチュラル・シティ」はhttp://www.natural-city.jp/で、8月に公開されるアニメーション「マダガスカル」はhttp://www.madagascar.jp/と、汎用JPドメイン名を利用している。どれを見るか迷うが、GWに駱駝で旅した砂漠の映画に決める。撮影地が分かってなかなか楽しい。

 外に出ると、駅前広場では、新車のキャンペーン・イベントの真っ最中。「トヨタ自動車」(http://toyota.jp/)、「レクサス」(http://lexus.jp/)など、日本車メーカーはもちろんのこと、最近では「ルノー」(http://www.renault.jp/)、「プジョー」(http://www.peugeot.jp/)など、多くの外国車メーカーが汎用JPドメイン名を利用してWebサイトを立ち上げている。短くて憶えやすいのに加え、日本市場重視の経営姿勢をアピールできると考えてのことだろうか。広場では「私たち○○○社のインターネット・アドレスは何?」というクイズをやっている。「○○○.jp!」と正解するとカレンダーなどがもらえる仕組み。‐う〜ん、ドメイン名がいつの間にか、ここまで一般的になっていたとは!‐何とも感慨深い。

 帰り道、傍らの畑では、ナスの紫の花にモンシロチョウが戯れ、茜色の空に蝙蝠が飛んでいる。‐僕は一体何のために生きているのだろう?‐ふと、そんな思いが心をよぎる。でも、人は自然だけでは生きてはいけないし、思いや感動を伝える何かが必要だ。それは数万年前のラスコーやショーヴェの洞窟画以来、「絵」であり、「言葉」であり、そして今は「インターネット」?5月に西アフリカで見たローマ帝国の遺跡が目に浮かぶ。‐倒れた石柱に刻まれた文字(アルファベット)が砂に埋もれ、その上に真っ赤なケシの花が咲き誇っていた‐今の僕達はいったいどの地平を歩いているのだろう。それは漠としてわからない。たとえ目の前に広がるのがオレンジに輝くサハラだったとしても、僕達は歩みを止めず、一歩ずつ進んで行くのみだ。

(J)
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